ちいさな図書館がありまして、そこに2~3年通っている女性がいました。
とある本を借りた時の話しです。
その本を読み始めると、あることに気づきました。
この本は誰にも借りられていない。
ページとページの間が空気に触れられていない感じ。
しおりの紐先が全くくたびれていないこと。
その紐の挟まっていたページは、紐の畝が残ったまま消えないこと。
私が初めて借りたんだ。
入荷の印には5年前の日付けが押されていました。
5年間、誰にも借りられず、読まれなかった本。
長い時間、他の本と本との間にギュッギュッウに挟まれて。
しおりの跡が付くまでずっと挟まれて。
本棚から取り出されたことがあるかもわからない本を見てたら、堪らなく愛おしくなりました。
この本を借りてあげられてよかった。
一冊の本を救ってあげられた喜びで胸がいっぱいになりました。
そんな彼女の夢は、
このちいさな図書館の本を全部読むことです。